米のつくり手
Farmers
「寄り添い、ただ黙々と」
吉田 正行Masayuki Yoshida
山形県 置賜
1948年、吉田は農家の7代目として生まれた。かつては稲作の他に乳牛も飼い、吉田が片時も離れず世話をする牛舎は、いつも日向の干し草のような良い香りに満ちていたという。しかしある日、吉田は長年育ててきた我が子同然の牛たちをすべて手放した。
妻が倒れたからだ。「ああ、もう妻に無理はかけらんねえ、牛はやめようと思ったんだ」そして吉田は、その心を米づくりに注いだ。吉田の田んぼには、いつしか自然にカブトエビが棲むようになった。田んぼが清澄な証だ。
カブトエビは吉田の優しさに応えるように、雑草を食べ、泥をかきまぜ、肥沃な土を作る。収穫期、この地方には「杭がけ」という伝統的な稲の乾燥方法が残っている。
冬に編む藁を得るため、刈り取った稲を打ち込んだ杭にかけ、約20日間、天日に干すのだ。その過程で米にもうまみが凝縮していく。
吉田は、先祖が代々してきたのと同じように、黙々と畦に杭を打ち込んで行く。
「ひとめぼれっていう、稲が好きでよ。早稲だから刈入れが早くて雪が降る前に天日干しが済むし、藁編みにも長さがちょうど良い。ただ、あんまり無理をかけられない稲だからよ。肥料をやればいいってもんじゃない。俺が米を作る時思うのは、できるだけ稲にも地面にも無理をかけないようにってことだ」田んぼの向こうまで連なる吉田が立てた杭に、一匹の赤トンボがそっととまった。
[米販売元]笹屋米店 [取材・文]角 舞子
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